バイオディーゼルチャレンジは
BDFをもっと知るために始まったプロジェクト
環境にやさしい燃料として注目されるバイオディーゼル・フユーエル(BDF)ですが、2006年当時、欧米に比べて日本での認知度はまだまだ低く、情報を収集しているうちに、車でのBDF使用はトラブルも少なくないという話も聞きました。しかし当時は長距離・長期間の使用におけるデータや検証例も少なく、実際のところはよくわかりませんでした。そこで自分自身で確かめてみようと始めたのが「バイオディーゼル・チャレンジ」です。
「学び」「実践」「伝える」をテーマに2006年の春からBDF100%を使った走行テストを重ね、2006年7月の日本縦断、8月のヨーロッパ縦断走行とBDFスタンドの普及を調査。11月にはアラブ首長国連邦で行われたクロスカントリーラリーのワールドカップ「UAEデザートチャレンジ」に出場(B20使用)、2007年1月に行われたサハラ砂漠縦断レース、「ダカールラリー」に出場(B20使用)をして2年間でBDFを使って4万キロを走行するテストおよび車への影響を調べました。
2007年には、独自のアイディアでBDF燃料を精製機(プラント)を開発し、それを車の荷台に車載し、行く先々で廃食油を集めながらBDF燃料を自車内で精製。化石燃料を一切使わず地球を一周する「バイオディーゼルアドベンチャー」を行った。2008年12月無事日本に帰国。
2009年4月、地球一周した車「バスコファイブ」を使って、さらに車への影響を調べるために日本一周をスタート。
旅の間、BDF事情を調査・紹介することはもちろんのこと、バイオマス燃料に留まらず、自然エネルギーや環境に配慮した地域での取り組みを調べたり、ジャンル問わずさまざまな方たちにお会いしながら「気持ちのいい生き方とは何か?」を考えてみたいと思い旅を続けています。
旅の様子は、メディア(雑誌、新聞、テレビ)でも紹介していますが、バイオディーゼルアドベンチャーの公式HPにあるブログでもご覧になれます。
※バイオディーゼルチャレンジは、営利を目的としない個人の試みです。プロジェクトは多くの方のご好意と援助で成り立っています。活動は車で走るだけでなく、各地でのエネルギー、環境問題を取材、ご報告や講演なども行いながら走り続けています。
バイオディーゼルアドベンチャーのスタート
車の中でBDFを精製して地球を走る!
地球一周するほどの長距離をBDF(バイオディーゼル燃料)100%で実際に走り、その可能性を試すためには、BDFを給油できるガソリンスタンドが必要になります。しかし、BDFを売るスタンドは世界中にあるわけではありません。比較的BDFの認知度が高いヨーロッパやアメリカにはスタンドがありますが、それだけでは数が足りないし、世界にはBDFスタンドのない国のほうが多い。しかも廃食油から作られているBDFだけで走ろうとするとその数はほとんどないに等しいかもしれません。そのためガソリンスタンドでBDFを給油しながら地球を一周するのは不可能でした。そこで、廃天ぷら油がどこにでもあることを活かし、それを集めて車に積んだ精製機(プラント)でBDFを作りながら走ろうと考えました。しかし車載できるほど小さなプラントはこの世に存在しません。そこで、超小型プラントを自身で製作することからこのプロジェクトは始めました。
プラントを作ると言っても、僕は化学の専門家でもなくその知識もありませんでした。まずは化学の勉強、そして専門家を訪ねました。また「超小型」で「水を使わない」新しいプラントを制作するためにパーツごとに専門の会社も多数訪ねて相談して歩きました。こうして一つづつ材料を取り寄せ、実験を重ね、多くの方々の協力を頂き、私の構想したプラントが約10ヶ月で完成しました。
この車で地球のあらゆる場所を走行したい。水のないサハラ砂漠もそのエリアのひとつです。そのために水を使わないで精製する方法を選択。また、フィルター類も極力交換しないでいいもの、洗浄すれば半永久的に使えるものを選びました。BDF精製機は精密機械を含むので耐震性、耐久性も考慮してあります。悪路の走破性を考え、車の足回りを少し強化していますが、市販車でテストを行いたいため、エンジンはもちろん市販されているものとまったく同じく無改造です。
詳細→http://biodieseladventure.com
BDFとは?
バイオディーゼル・フュエル(以下BDF)は、植物由来のディーゼル燃料として、化石燃料の軽油に代わる新しいエネルギー源として注目されているものです。やがて枯渇する石油とは違って、菜種油や大豆油、または廃天ぷら油などを原料とするため、繰り返し得ることが可能なうえ、この利用によって大気中のCO2を増加させない炭素中立(カーボンニュートラル)という特徴も併せ持っています。BDFのカーボンニュートラル
BDFも燃やせばCO2を排出するという点では石油と同様ですが、原料となる植物が光合成による生育の過程でCO2を吸収したものが、燃焼によって大気に還元されたものであるため大気中のCO2増加に加担しないものと考えられています。BDFの特徴
- 植物由来である
- CO2増加に加担しない
- 生分解性が高く環境に与える影響が小さい
- クルマの改造が必要ない(軽油仕様のクルマにそのまま入れることができる)
- 廃天ぷら油などからもリサイクル可能
パリダカに地球温暖化を抑制するBDFで出場
パリダカ史上初のバイオディーゼル燃料を使って参戦!世界でも類を見ない冒険ラリー、2007年1月6日にスタートする「パリダカールラリー2007(通称パリダカ)」にバイオディーゼル燃料を使って、「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー」から挑戦することになりました。
今回の車両は、BDFの使用に加え、車体にバイオプラスチック素材を使用しています。二酸化炭素の吸収力が優れた植物原料ケナフを使ったバイオプラスチック素材をボデイに使用することで、空気中の二酸化炭素をボデイに固定し、CO2の削減を試みるエコカーに仕上がっています。
●BDFのカーボンニュートラル
BDFも燃やせばCO2を排出するという点では石油と同様ですが、原料となる植物が光合成による生育の過程でCO2を吸収したものが、燃焼によって大気に還元されたものなので大気中のCO2増加に加担しないものと考えられています。
●バイオプラスチックとは?
ケナフは一年草で、半年で高さ3〜4mに成長し、空気中の二酸化炭素の吸収力が、熱帯雨林の3倍、杉の7倍もあり、水中の窒素やリンの吸収力も高く水質浄化にも効果があります。そのケナフの皮から強い繊維をとり、ケナフの芯からはリグニン樹脂を取り出し、熱で固まる接着剤に変え、この繊維を固めてバイオプラスチックボードが作られます。強度は従来の樹脂と変らず、さらに軽量化という観点からも優れた素材です。
レポートを読む
チーム名: TLC(Team Land Cruiser TOYOTA AUTO BODY) http://www.toyota-body.co.jp/dakar/index.html
ダカールラリーオフィシャルサイト http://www.dakar.com/